l'angle de la lumière

1 mars 2020, dimanche

 

3月になった。

今年は暖冬で、庭の梅の開花がいつもより半月ほど早い。

梅

2月18日。

梅

3月2日。

 

この暖冬は気候変動と無縁とは思えない。

南極の氷が溶け、太平洋の海水温も上がる。

今年の夏〜秋も日本は巨大台風に襲われるのだろうか。

 

季節の変化は太陽光の角度も変える。

窓から差しこんだ光が梁に当たって反射し、照明がないのに照明具が灯っているように見える。

光

こんな何気ない現象に、地上に生きていることを何だか奇跡のように感じる。

 

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造形の根本モチーフとして、「屋根」を発見したとき(2013年)、そもそもぼくはその傾きに、「角度」に魅かれたのではなかったか。

「屋根は傾いていなければならない」という自明の理を個展のDMに書き込んだが、それは屋根の傾きに水と重力を持つ惑星上の存在の原理を直感したからだ。

ここに光を加えると、角度が一切を貫く原理であると気づく。

それは、存在の根源的いやむしろ形而上学的な「逸れ」ないし「偏向」につながっている気がする。

この宇宙は「逸れ」とともに出現したのだ。

いいかえると、エピクロスのいうクリナーメン(偶然の偏向)が、この宇宙を物質的なものとして存在させる契機になったのだ。

物質以前に素粒子レベルのクリナーメンが生起したのだろう。

物理学者でも哲学者でもないので、この辺りを論述する気は毛頭ないが。

(3月3日)

 

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不思議な偶然。

深夜に上のように記した翌朝の朝日新聞(2020年3月4日)に、素粒子物理の村山斉さんが次のように書いていた。

「宇宙が誕生して1兆分の1秒のさらに1兆分の1の時、もう一つ相転移があったと私は考えている。この時にニュートリノの重さが生まれ、物質と反物質のわずかなずれを作り、私たちを完全消滅から救ったのだ。この相転移は急速だったので、ひびが生じた。これを宇宙ひもという。大きなエネルギーが原子よりも細いチューブに詰まって長く伸びている。いわば「宇宙のひび割れ」だ。」

 

メルロ=ポンティも感覚の哲学をつきつめたあげく、écart(ずれ)のことを語っていた。

物理学の未解決問題は、ニュートリノに質量を与える仕組みらしい。

ぼくはスピンだと思う。回転は「角度」の問題。

感覚と宇宙、哲学と素粒子物理学が究極的に交わるのも「ずれ」、すなわち角度の発生においてだ。

 

春3月、光なく光る場所を見上げて、存在の始原を夢想する。

 

 

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