le dernier jour d'un bain public
30 septembre 2019, lundi
楽只浴場が今日を最後に閉鎖される。
楽只小学校も今年で閉校になる。地域が変わりつつあるのだ。
6つの市営浴場ののれん制作を頼まれたが、楽只浴場だけが9月末で閉じるというので、納品を急かされ、マレーシアに出発する直前に仕上げて送付した。
帰国後も忙しく見に行けてなかった。たった1ヶ月足らずのお披露目。
今日を逃すともう見れない。それで、Books+Cafe SOLのリノベの作業を終えて千本北大路に車を飛ばした。
なんとか間に合った。
楽只浴場は通り向いの団地からアクセスがよいよう、千本通に地下道が設けられている。
また入口まで引きがないため、玄関扉の前に衝立がたっている。なので、外のれんは見えにくい。
が、ともなくかけられていて、ほっとする。
最初で最後の、のれんくぐり。
浴場は新しい。だが、番台のおばさんによれば客が減っている。
たしかにこの日、ぼくが入浴しているときも、客は3〜4人でがらあきだった。
今年の6月30日付けの京都新聞によれば、京都市には同和対策事業などで建設された改良住宅が約4500戸あるが、その約75%に浴場がない。市営浴場は、こうした地域の住民のために建てられたもので、現在10箇所ある(*)。
ぼくはそのうち6つの浴場を指定管理者として運営する都総合管理(株)に、のれんとショップカードを依頼された。
北から楽只、養正、錦林、三条、崇仁第2、崇仁第3の6つの浴場。
このうち、9月末で楽只が、来年3月末で崇仁第3が閉鎖される。崇仁第3の閉鎖は、京都芸大移転に伴う市営団地の解体のためだ。
ショップカードは全部ぼくがつくったが、のれんは京都芸大の大学院修了者5人といっしょに取り組んだ。
ぼくが担当した楽只以外は9月末締切だったが、他の者はみなできたのだろうか。。。
浴場は明るく湯船もたっぷり、サウナもあって汗を流した。
出るとき、番台のおばさんに、こののれんを描いたのは自分だが、今日までなので裏からも写真を撮りたいというと、扉をあけて手伝ってくれた。
これらののれんは浴場閉鎖後、はたしてどこに行くのか?
ぼくの大阪市東住吉区の生家にも、高校にあがるまで浴室がなかった。なんとも思わなかったし、銭湯に行くのも好きだった。
銭湯はそれなりに地域の人たちのコミュニケーション空間として機能していた。
衛生環境の向上とかで、どの家にも風呂がつくようになり、銭湯が次々となくなった。
新しいかたちの銭湯的空間が必要と思うが、具体的なアイデアまでいかない。梅湯はえらいと思う。